The Official Guide for GMAT Review 12th の間違い
The Official Guide for GMAT 12th editionには、11th editionから修正されずにそのまま残ってしまったエラーがいくつかある。OGの問題および解答には間違いはないが、解説の記述のなかには、執筆者が問題の趣旨を十分に理解していないと思われる明らかな誤りや、うっかり気づかなかったと思われるエラーがいくつかある。(2006年に、問題作成者・管理者がETSからACTへと移管されたのが食い違いの原因。)
今回は、Diagnostic Test部分のCritical Reasoning (CR) の解説中のエラーについて。
P. 79 第21問 の解説
誤っている箇所
解説中、Reasoningという部分3行目に、以下の記述がある。
“If it were determined that metal objects were traded from one culture to the other, it could be possible that the metalworking techniques were passed along as well.”
“もし金属製品が1つの文化から別の文化へと売買されたということが事実なら、同様に金属細工の技術も伝えられたという可能性がある。”
問題点
問題本文の仮説は、要約すると、「7世紀のメキシコでエクアドルと同じ技術を使った指輪が発見された。ということは、メキシコの職人がエクアドルから金属細工の技術を学んだはずだ」というものである。
解説では、「7世紀にエクアドルとメキシコの間で金属製品の貿易があったことが事実なら、金属細工の技術も職人の間で伝えられた可能性が高いと言っている」が、疑問である。
メキシコで発掘された指輪にエクアドルと同じ技術が使われていたのは、金属細工の技術がエクアドルからメキシコの職人に伝えられたのではなく、単に製品が貿易によって売買されたためである可能性が、むしろ高いはずである。
選択肢(A)は、「もしメキシコとエクアドルの間で貿易があったなら、単に金属製品がエクアドルから輸入されたためにメキシコで発掘されたのであって、金属技術まで伝わったとは言えないのではないか。したがって、『当時、両国の間に貿易があったかどうか』が明らかになれば、本当に金属細工の技術が伝わったかどうかを確認できる。」という理由で正解になる、というのが、もともとの問題作成者の趣旨であったはずだ。
解説の執筆者が言うような「貿易があったということは、技術も伝わったはず」というような非常に飛躍のある推定とは、むしろ逆の理由である。
P. 83 第25問の解説
誤っている箇所
まず、解説中、Reasoningという部分4行目に、以下の記述がある。
“If the frequency of stopping increases when the beetle follows a swerving insect and must constantly change its course, then the second hypothesis is strengthened; the beetle’s pauses increase as the variety of visual information that it needs to deal with increases.”
“もし、向きを変えながら逃げる獲物を追いかけているあいだ常に進路を変える必要がある場合に、甲虫の停止の頻度が上がるのであれば、第2の仮説が支持されることになる。処理すべきさまざまな視覚的情報が増加するにつれて、昆虫の一時停止は増加することになる。”
また、選択肢(B)の解説にも、同様の趣旨の記述がある。
“This statement provides information that strengthens the second hypothesis: the swerving pursuit and the resulting continual course adjustments appear to be forcing the beetle to stop with increasing frequency to sort out the erratic visual information.”
“この記述は、第2の仮説を強めることになる。向きを変えながらの追跡と、そのための断続的な進路変更のせいで、不安定な視覚的情報を整理するため甲虫はますます高い頻度で停止せざるを得なくなる。”
問題点
本文では、tiger beetle (ハンミョウ)という甲虫が獲物を追いかけている間に何度も一時停止を繰り返す理由として、2つの仮説が紹介されている。
仮説1: 追跡中、疲れるので休息のために停止する。
仮説2: 追跡中、急激に変化する周囲の状況を視覚的に処理できなくなり、目が見えなくなるため停止する。
もし第2の仮説が正しければ、進路を変えながら逃げる獲物を追いかける場合、追いかけ始めた始めた時点で、周囲の状況を目で追えなくなり、最初から停止の頻度は高くなるはずである。
解説の執筆者が言うような、「視覚的情報を処理できないから、ますます停止の頻度が高くなる」という状況が生じることは、考えにくい。
むしろ、選択肢(B)「追跡が進むにつれて、停止の頻度が高くなる」ということは、当然、追いかけている甲虫の疲労が溜まってきたからだと考えるのが自然である。
したがって、OG解説の内容とは逆に、選択肢(B)が事実なら「仮説1」をサポートするという点で、(B)が正解になるはずである。